ちょっとした記事

リンジンたちの名言2017 -編集後記-

2017年の3月にスタートしたリンジン。これまでの10ヶ月間に総勢45名の方を取材し、計85本の記事で多様な“はたらき方”をお届けしてきました。

年末という区切りで振り返ってみると、現在のアクセスランキングには入っていないけれど、「これは今ぜひ読んでほしい!」という記事がたくさんあります。そこで2017年最後の記事となる今回は、今年公開した記事の中から、編集部が選んだ名言を一挙公開します!

「どうして僕には『好きなことをやりなさい』って言うのに、大人は好きなことをやらないの?って聞くんです。このひと言にすごく揺さぶられましたね」
お母さんがベーグル屋をはじめた 相原万里さん

家族を想い、”母親らしさ”を求めて行動していた相原さん。お子さんから投げかけられたこの核心をついた言葉に、心を大きく揺さぶられた人も多かったのではないでしょうか。家族の中で自分らしく生きていくことの難しさを、改めて気づかせてくれた言葉です。

「デコポンを何千何万個も袋詰めする作業をしているうち、触るだけで美味しいデコポンが自然と分かるようになった」
子どもに見せたい八百屋の背中 松江鶴人さん

開業した人たちはみな、その分野におけるスペシャリストだと感じます。やおつるを開業した松江さんのこの言葉には、そんな自信とプライドが溢れています。他の誰にも負けない目や腕を持つ。それは、何かを始めるときに大きな支えになると同時に、お客様からの安心を勝ち取る大事な武器になることを改めて思い知ります。

「美術やアート活動をしている自覚があるんですが、その作品を発表するためには“展示”という形態に落とし込むことが一般的になり過ぎてしまっていて。でも今の自分のテーマを体現するためにはお店の運営をする必要があったんです」
1年だけ花店をひらく 小宮麻吏奈さん

「いつか自分のお店を持ちたい」と思う人はたくさんいますが、「何故お店を持つのか」を深く考えさせられたのが小宮さん。アーティストとして表現する方法を考え抜いた結果、お店を運営するという結論になったと言います。アーティストのみならず、人はみな「表現したい」という潜在的な欲望を持っていて、お店を持ちたいという気持ちは、その表れなのかもしれません。

「何もなかった場所に、トランクを開くとひとつの世界が広がる感じが好きなんです。条件の異なる決められた場所の中で、どう並べたらいいかなと、新しい挑戦を毎週のように気軽にすることができる。それも、行商スタイルのいいところだと思います。お店だったら、そんなにたくさんの頻度で棚や商品を入れ替えたりするのはきっと難しいですよね」
トランクひとつでマーケットを旅する 宇治橋帆織さん

店舗を持たずに目まぐるしくマーケットイベントを転々とするCOVINの宇治橋さん。毎週さまざまな場所、限られたスペースの中で出店することは、場数を踏みながらも店主としてのセンスや感性も養うことのできる挑戦の連続。自分の活動の推進力を増すためには、頭のなかで熟考することも大切ですが、やはり実践に勝るものはないのだなと痛感した言葉です。

「面白いことを始めたね、とよく言われるんですけど、店舗併用住宅って昔の町の風景ではよくあったものじゃないですか。お店の奥に居間があって、おばあちゃんが店番しながらコタツでテレビ見てるみたいな。暮らしとしごとが、ひとつだったわけですよね。その自然なかたちを、もう一度提案しているだけなんです」
店舗併用住宅に暮らすデザイナー 丸山晶崇さん

商店街の一角に自宅を建て、その1階をHOMEBASEと名付けて飲食店スペースにした丸山さん。郊外でしごとをはじめようとする人からは、“地域と関わり合いたい”という言葉をよく聞きます。会社が都心にあったり、顔の見えない“誰か”のためにはたらいていたり、いつの間にか暮らしとしごとが別々のものになってしまったから出る言葉なのだと思います。まずは自分のすぐ近くの人のためにするのが、一番シンプルなしごとだったなと、ハッとさせられました。

「例えば、大学を卒業したばかりの人が一戸建てに住んで、郊外の企業ではたらくという姿は現実的ではないですよね。郊外で職住近接を実現している人は、都心で今までやっていたことをいったん辞めて、それからはたらき方を変えたり、新しいことを始めたりする過程を経ています。“スタートから郊外で”というはたらき方は、稀なケースではないでしょうか」
郊外はどこへ向かう 保井美樹さん

リンジンでご紹介している方をはじめ、多摩エリアには面白いはたらき方をする人が集まって来ている実感があります。その多くが、一度は都心の会社に勤め、結婚や独立を機に多摩に根を張り始めた人。将来の暮らし方を見つめ直した結果、「あえて」郊外を選んでいる人が増えてきています。そんな大人がもっともっと集まってくると、「卒業したら家の近所でお店やろう」なんて言う学生さんも、今後は増えてくるのかもしれませんね。

「わたしが農家みちでしたいことは、あの風景を守ることにつながっていくんです。風景って目に見えるものだけじゃなくて、伝統行事だったり、人の思いも含めたものなんですよね」
作家と農業をつなぐ一本道 村岡尚さん

地域で自らの道を切り開こうとする人の多くは、その地域の歴史や風土、慣習などを理解し、古きを重んじながら、新しい発想で未来を切り拓いているように感じます。村岡さんもその一人。木版画家や都市計画のコンサルティングとしての経験に、「農家みち」という町の風景を掛け算することで、これまでになかった新しい価値を生み出そうとしています。

「寿命が伸びたと思います(笑)」
教育観とビジネスの間で 鈴木祐輔さん

はけの道学習室を開校した鈴木さんの教育方針は少人数教育。合理性を追求する大手の塾では実現できなかった自身の理想形を表現しています。 “本当はこうだったらいいのに”と思い続けながら、会社の方針に従って時には自分の信念を曲げる。そんな我慢のはたらき方から解放された鈴木さんのこの言葉は重いです。

「どんな人にもチャンスは巡ってきます。でもそのときにお金の知識がなくて諦めたりするのはもったいない。投資をして、それでたくさんの人が幸せになる場をつくれるのであれば、借金なんてちっとも怖くないですよ」
まちの空気と温度をつくる人 鈴木佳範さん

自分の叶えたい理想のためにコツコツと資金を蓄えることを、実生活の中で続けていくのは本当に難しいことです。しかし、そうしている間にも、世の中は絶えず流れていきます。「今だ!」と思ったその一瞬を逃さず、恐れずに一歩を踏み出せるかどうかで、数年後の未来は大きく変わってくるのかもしれません。



いかがでしたでしょうか。ここでご紹介したのは、編集部のそれぞれが心に残っていた言葉。公開して来た方々のほんの一部です。リンジンの記事はキーワードで検索できるようになっていますので、例えば、住んでいる場所や自分がやってみたいことを入力して、ぜひ探してみてください。(パソコンの方は画面右上の虫眼鏡をクリック、スマホの方はメニューボタンをタップした先から検索できます)

年末年始は、リンジンをゆっくり読みながらお過ごしいただけたらうれしいです。(編集部 北池・國廣・加藤)