そばではたらく
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おもちゃが導く親子のカタチ

子育てをしながら、自分のための時間も大切にする。それは、小さい子供を持つ母親にとって難しいことなのかもしれません。
今回お話を伺うのは、東京初のベビートイマスター・キッズトイマスターに認定され、0~3歳の子どもたちに“知育玩具”とよばれるおもちゃの選び方・与え方を教える教室を主宰する中村桃子さん。
「家にいるよりも、外へ出て子どもや人と触れ合うことが大好きです」と充実した笑顔で話す中村さんには、現在4歳になる娘さんがいらっしゃいます。
ご自身のしごとと家族との時間、どちらも大切にしながら、小金井をはじめ多摩エリアを中心にどんどん活動の幅を広げている中村さん。そのパワーの源や、子育てとの両立の工夫はどのようなものなのでしょうか。

ターニングポイントは、子どもができたこと

「出産後の一番の悩みは、自分の時間が十分にとれなかったことですね」

日に日に成長を見せる子どもは本当に可愛い。その一方で、母親になってからなかなか以前の調子に戻ってくれない身体のことや、決して思い通りにはいかない子育てに、1人で思い悩む時期は長かったと中村さんは言います。
工学部で研究に没頭する日々を経て、「人と接することが好き」という気持ちから研究内容を活かせる商社の営業職に就き、人好きが高じてベビーマッサージインストラクターの資格を取り……と、興味を持てばすぐに行動に移してきた中村さん。今までのような自由がなくなったことへの葛藤は、大きなものでした。

「そんな時に偶然出会ったのが、ドイツ製の木の知育玩具でした。触れた時、ひさしぶりに気持ちが軽くなって、パァっと晴れるような感じがしたんです」

同時に、良いと思えるおもちゃとの出会いの少なさや、どこのメーカーのものか一目ではわからず手に入りづらいこともわかり、中村さんの探究心は一層掻き立てられていったそうです。

セレクタ社(ドイツ)のことばカード。生き生きとした繊細な色使いで、子どもの想像力を育てる。

美しいおもちゃとの出会いで、火が点いた!

もともと探求心旺盛だった中村さん。それからは、さまざまなおもちゃを実際に購入し、当時はまだ赤ちゃんだった娘さんがどのような反応を示すかを確かめながら研究を重ねていきました。
限られた情報の中から“良いおもちゃ”を見極めることはとても難しく、ネット通販で後悔することも多かったと言います。
当時、愛知県を中心に講座を開催していた日本知育玩具協会のFacebookページを見つけたのもそんな時でした。
「大人が正しい働きかけをして、子どもが遊びを通して自然に集中力や知的好奇心を引き出されるおもちゃを与えてあげること」を大切にする協会の理念に共感した中村さん。初めてのおもちゃとの出会いから3年経った、2016年11月、中村さんは小金井市内のシェア教室CO-舎でおもちゃに特化した親子向けの教室を開きます。
それからは、娘さんをプリスクールに預けている時間を活用して、週3~4日のペースで小金井から立川、八王子、吉祥寺へとおもちゃを抱えて飛び回る日々。子育てと両立しながらの、その探究心と行動力には驚かされました。

CO-舎で開催された、赤ちゃんのための積み木講座の様子。

家族の時間、しごとの時間

中村さんは、現在4歳になる娘さんと旦那さんとの3人暮らし。
今のしごとが忙しくなってきた頃、家族との時間を見直すきっかけとなる出来事がありました。

「ある日、自宅で資料を打ち込んでいたら、娘に突然パソコンの電源を切られてしまって。データはバックアップをとっていたので大丈夫でしたが、幼児教育をしごとにしている自分が娘に寂しい思いをさせていては駄目だなと、反省しました」

それからは、家族との暮らしを軸に据えることを、より一層意識するようになったといいます。

「私にとって家族との時間は一番大切ですが、しごとでお会いする相手には私の家庭の事情は関係のないこと。メリハリとバランスを自分の中でうまく作ることが大切です」

娘さんを寝かしつけた夜にパソコン作業をする、隙間時間をつくって休むといった時間のやりくりのほか、しごとに真剣に取り組む中で見えてきたこともあるそうです。

中村さんがはじめておもちゃの教室を開いた場所、武蔵小金井駅近くのシェア教室CO-舎。

見えてきた、“本当にやるべきこと”

「1人でしごとをしていると、どこまでもサボれてしまう反面、どこまでも熱中できてしまう」と中村さん。個人事業主になると、広報や事務作業など、自宅でのデスクワークが無限に出てきます。中村さんも、はじめはそれに追われていたそうです。

「けれども、中には無駄なことも多かった。しごとの中で“本当にやるべきこと”は、実はそんなに多くはない。やったほうが良いことと、やっても変わらないことの塩梅がようやくつかめてきました」

出産をきっかけに、大好きなおもちゃを通して人と触れ合い、忙しくも充実した日々を送る中村さん。
子育ては、子どもが小さなうちはもちろん、学校に上がってからも大変なことには変わりありません。「だからこそ、自分の人生も大切にしたいと思えます」と話す中村さんの笑顔には、家族やしごとへの愛情が溢れていました。

子どもと一緒におもちゃに向き合う、真剣なまなざしの中村さん。

プロフィール

中村桃子

1児の母。多摩エリアを中心に、0歳~3歳児向けの知育教室を開催。親子向けの幼児教室のほか、講師やインストラクターを目指す人を対象とした育成教室も開いている。自分と同じ講師仲間を増やし、生まれ育った多摩エリアで近い将来、おもちゃの児童館を開室することが目標。

おもちゃで育てる赤ちゃん知育教室
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