ちょっとした記事

まちに一つだけの写真屋さん

生まれ育った兵庫の日本海側のまち香美町から、東京にやってきて4か月が過ぎようとしています。編集室の山本です。私は大学生のころからまちを歩くのが好きで、東京にやってきた今でもそれは変わらず好きなことの一つです。まちを歩いていると写真に収めたくなるような場所や場面に遭遇することがあり、初めのうちはそれをスマホで撮影していたのですが、カメラを持っていれば楽しさにもう少し拍車がかかるのではないかと考え、ちょっとした趣味としてフィルムカメラも大学生の頃から持ち歩いています。そんなフィルムカメラを通して考えたまちのことについて、今日は書いてみようと思います。

と、その前にカメラの中でもなぜフィルムカメラなのかという話を少しだけ。私がフィルムカメラを選んだ理由は、大学生の私にとってデジタルカメラがかなり高価だったということです。それに対して、フィルムカメラは実家で昔使われていたものがデジタルカメラの登場によって活躍の場を失っていて、タダで始められました。街の写真屋さんに行けばジャンク品が数百円で売られていたりもします。毎回フィルム代が数百円かかりますが、その分だけ1枚1枚大切にシャッターを切れる良さがあったり、デジタルカメラとは違い、電池なども必要なく、単純に仕組みだけで動くフィルムカメラは古くなってもいい味を出しながら活躍します。

さて、前置きが長くなりましたが、フィルムカメラを始めてみると気づく思わぬ発見があります。それはフィルムを現像してもらう写真屋さんから見えるまちの姿。

大学生の頃は、住んでいた場所の近くの商店街に古くからある写真屋さんでフィルムを現像してもらっていました。そこには毎日カメラを趣味にしているおじさんたちが集合し、ああでもないこうでもないとカメラ談義に花を咲かせていて。現像に来た僕のような新参者にも、どんなカメラを使っているのかなど興味深そうに質問をしてくださり、そこからカメラの世界の奥深さや写真で撮ったまちの変遷などを聞かせてくれます。

地元の漁師町に帰省するとまちに一つだけある写真館で現像をしてみるようにします。すると、写真館のご主人はまちの人口が減ったり、カメラがどんどん進化して、スマホでプロのような写真が撮れるようになったことから、現像にフィルムを持ってくるお客さんがどんどんいなくなっている現状を聞かせてくれます。そんな地元の写真館ですが、ご主人が高齢になられたこともあり、先日、店じまいをされました。自分の好きな趣味の時間を続けていくには、身近にある写真屋さんが続いてくれないといけないという、当たり前に気づいた機会でした。

カメラを通してまちの姿を見続けてきた写真屋さんにフィルムを手渡すことで、一人の趣味だったまちあるきをもう一歩深く、広がりのある趣味へ広げてくれるような気がします。東京に来てからも、まちの中に写真屋さんがあるのが目に留まることがあります。自分の好きな趣味、自分の好きな時間を続けていくために、まちの写真屋さん応援したい。そのためにせっせとフィルムを写真屋さんに持って行きたいと思います。(山本)