そばではたらく
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自分の場を持つまでの道のり 後編

自分のお店や事務所をオープンさせた、3名の女性にお集まりいただいた座談会。3名とも自分を“起業家”とは思わず、けれど紛れもなくご自身でしごとをつくられています。後編では、家族や暮らしとのバランス、みなさんが目指す自分の姿についてお聞きします。

家族の理解と応援

—自分でしごとをすると決めたとき、ご家族はどんな反応でしたか?

長屋「最初、『えっ』ていう反応はありました。ネットショップで十分やっていけてるのに、なんで今店舗が必要なの?って。私としては、ネット販売だと人と直接関わることがなくて物足りなさを感じていたので、やっぱりリアルな店舗にチャレンジしてみたいという気持ちが大きかったんです。『やるならちゃんと売り上げの管理をやってね』、とは言われましたが、応援してくれています」

手伝ってくれる旦那さんからのアドバイスは、上手く使えそうなところを汲み取る感じと長屋さん。

石井「うちも同じで、『お金の管理はちゃんとしてね』って言われています。面白そうっていう気持ちではいてくれているみたいで、ホームページを作るときには手伝ってもらったりしています。最初やるって言ったときは、止めても聞かないだろうな、みたいな反応でした。私はやりたいって思ったらやっちゃうタイプなので、諦め半分、応援半分(笑)」

辰巳「具体的な話をしていたわけじゃないんですけど、結婚する前から、事務所からは当然独立するよね、それでやっていけたら楽しいよね、という認識はありました。だから不安がっていた私を旦那が引っ張ってくれて、『先に攻めとけ!』みたいな(笑)」

思い描くはたらき方

—みなさんいよいよお店やオフィスを開かれるわけですが、目指しているご自身の姿はありますか?

辰巳「今まさに探している感じですね。結婚はしてますけど、自分で稼ぎを持ってやっていけるようになりたいなっていう気持ちはあります。若い世代の建築家は、事務所にこもらず社会に出てやっていくというスタイルが増えてきていて、いい傾向だなと思っています。このデザインが素敵だ!どうだ!ってやって、そのためにスタッフを使い倒すのはあまりにも前時代的だなと。建築は暮らし方に直結してくるので、自分らしい暮らし方を模索していきたいなと思っています」

「つくる側の意識が高くないと設計も良くならないと思っているんです」と辰巳さん。

石井「私も経済的な自立はしたいと思っています。それから、しごとも一生懸命やっていきたいけど、生活のリズムはそこまで変えたくない。子どもの教育のことも考えたいし、家族で遊びに行くのも続けていきたい。実は幼いころにメキシコに住んでいたんですが、南米中米はパーティー文化が盛んなんです。自分が祝ってもらって楽しかった記憶があるので、子どもがいる身として、日本でもパーティーをもっと身近なものにできたらって思っています。ブラジルにはパーティー専門のレンタルスペースがあって、結婚式みたいに段取りまでやってくれるんです。そういう形もいつかできたらいいなと」

長屋「私は、まずはお店を知ってもらうっていうところからですね。安いものを買おうとしたらいくらでも手に入ると思うんですけど、長く自分のお気に入りに囲まれて暮らせたら毎日幸せに暮らせる。それを広めて共有していきたいです。今後は、作家さんに向けた商品をメーカーさんと一緒に作っていけたらなって。最近は教育現場の方からのお問い合わせが多いので、ゆくゆくはそういうところにもプレゼンしていきたいです。今は子ども優先のはたらき方です。自分で足を運べる時間をつくれればもう少し広がるかなと思っています」

石井さんが販売をはじめるパーティーグッズ。海外から続々と仕入れられている。

色とりどりの糸が並ぶ長屋さんのアトリエ兼店舗。

“何かはじめたい”人に向けて

—最後に、地域で何か面白いしごとをしてみたいなという方に向けてメッセージはありますか?過去の自分に対して、でもあるかもしれませんね。

辰巳「所属するのではなくて、自分でやるという選択肢がもっと増えたらいいなって思います。地域が楽しくなりそうですよね。お子さんがいて会社に勤めると、時間に拘束されて大変だろうし、みんな周りの目を気にしているなって感じるんです。そこで頑張るのもいいけど、“自由になる環境をつくることを頑張る”っていうことを、女性は特に考えてもいいんじゃないかなってずっと思っていました」

座談会の合間にミルクの時間。開店準備も子育てや暮らしのペースにあわせてされている。

石井「私は、欲しいのに今ないものはつくれの精神です。例えば私は、どこかの店舗と協力して、日本にはないパーティーレストラン的なものがあったらいいな、つくりたいなって思っています。ないものはつくってみたら楽しいかもね、って伝えたいですね。まだ成功していないのでなんともですけど(笑)」

長屋「今は有効求人倍率も高くて、雇われることには苦労しない時代かなと思うんです。先々の人生を定年まで考えたときに、雇われるのは何回もチャレンジできるかもしれないけど、やりたいことをできるのは今だけかもしれない。雇われるのはいつでもできるくらいの感覚で、今、何か構想があってやりたい思いがあるのであれば、若いうち動けるうちに、やったほうがいいのではないかと思います」

自分の場を持って歩み出した3名は表情も晴れやか。

理想とするはたらき方に近づきたいと思っていても、現実には踏み出せないということは珍しくありません。結婚、出産や育児を経験する女性には、特に多いことかもしれません。
そんなときに選択できる道として、自分でしごとをつくってみるという方法があります。石井さんのようにご自身の体験から発想したアイデアで軽やかにはじめる形もあれば、長屋さんのように会社員時代の副業を続けるという形も、辰巳さんのように資格などを活かして会社への所属から独立へシフトしていく形もあります。

3名の話を振り返りながら“自分なら”と考えてみると、理想につながるステップが見えてきそうです。

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プロフィール

石井あゆみ

出産を機にキャビンアテンダントとして勤務した大手企業を退職。自由なはたらき方を模索する中で、幼少時代を過ごしたメキシコのパーティー文化を日本に広げるアイデアを発案。退職から約4ヶ月後、キッズパーティーアイテム&バルーンのセレクトショップpoppin’ soda partyをPO-TO N-03に開店。
http://www.partyshop.tokyo/

長屋聡美

ECサイト関連企業に勤務中から副業として副資材のネットショップを開始。結婚・出産を機に退職し、その後ermineaの屋号で手染め糸、引き揃え糸、手編み小物、アレンジ小物などを製作・販売。オンラインのほか、ショップへの卸しやマルシェ出店を行なっている。PO-TO N-07にアトリエ兼店舗をオープン。
https://www.mercari.com/jp/u/787286427/

辰巳知子

大手不動産会社で不動産賃貸営業に従事しつつ、作り手側にまわりたいという思いを募らせ、早稲田大学芸術学校建築設計科に入学。2011年から添田建築アトリエに勤務し、個人住宅、集合住宅、店舗内装などの設計監理を担当。2015年には、設計事務所に勤める夫とstudio83を設立。PO-TO N-02に事務所兼店舗を構える。
http://s83.info/main2.html