ちょっとした記事

リンジンたちの名言2021 -編集後記-

社会が少しずつ動き出した2021年は、昨年あたためていた計画へ向けて踏み出した方もいるのではないでしょうか。リンジンでも取材を通じて、一歩先に踏み出している人たちとの多くの出会いました。また、「まちのインキュベーションゼミ」と連動した対談連載をスタートしたり、以前紹介した物件のその後をレポートしてみたりと、新しいチャレンジをした一年でもありました。

一年の締め括りとなるコラムは、毎年恒例の名言集。今年公開した記事の中から、編集部の心に残った言葉をお届けします。一年をゆっくりと振り返る時間のおともに、ぜひご覧ください。

「ワケのわからない場所やお店がたくさんあるまちって、面白いじゃないですか」
【VOL.3】建築とアート、2本軸ではたらく 笠置秀紀さん
 
井の頭公園近くに事務所を兼ねた拠点を持つ、ミリメーターの宮口明子さんと笠置秀紀さん。建築とアートの視点からまちを見るお2人は、サブカルチャーの個性的な店が多かった吉祥寺を思い起こしながら、最近は誰もが知る看板が立ち並び、まちを歩いても発見がないと言います。
“ワケのわからなさ”を生むのは、まちの余白。便利さが増し、結果として地価が上がり家賃高騰がもたらされたことで、「これやってみようかな」と個人がアイデアを実現する余白が失われているという側面があります。面白いまちをつくることと、不動産や土地をどう使うかが強く結びついていることを感じます。

 

「おばあちゃんたちの想いや建物の歴史の奥深さに突き動かされ、“自分が守らないと”という使命感でここまで来ました」
古き洋館を受け継いだ専業主婦 久保愛美さん
 
国分寺市最古の洋風の別荘建築である沖本邸を生かして、カフェおきもとをオープンした久保さん。オープン初日から約3時間待ち、現在もカフェの予約は絶えないと、順風満帆にも見えますが、「これまでにいろいろなことがありすぎて、話は尽きません」と言います。カフェおきもとを始めるまでは専業主婦。何かを始めるとき、沢山の方が応援したいと思う熱意や優しさが大切なんだと感じました。

 

「ローカルって、眠った宝物がたくさんありますよね」
【VOL.1】カフェでつなぐ“生き合う”関係性 松井隆雄さん
 
複合施設「武蔵野プレイス」の1階にある「Café Fermata(カフェ・フェルマータ)」を運営する松井さん。海外にルーツがあり、マイノリティの立場も経験してきた松井さんは、「違うものを面白いと思える心が身についた」と語ります。ローカルで過ごす時間が増えた昨今、いろいろな価値観を受け入れ、ゆるく関係性を築いていけるカフェの存在は大きいはず。今後も多様な人々が繋がりあり、新しい関係性が築かれていくと思うと、とても楽しみです。

 

「“お客さま”として公園を使うのではなく、日常的に自分で使いこなしていく」
【VOL.2】公園のポテンシャルを町に広げる 佐藤留美さん
 
コロナ禍で外出が制限されたことも影響し、地元の公園で過ごす人が多くなりました。東京の複数の公園を管理するNPO birthでは、地域の人を巻き込んで、緑の保全や、イベント、ボランティア活動など、面白い仕掛けづくりをしています。行政や自治体に任せるのではなく、地域の人が自分ごとで公園づくりに関わることが大切だと言う佐藤さん。公園に地域の人が活躍できる場やつながりをつくることでコミュニティができ、コミュニティが育てば周辺のお店の収益や地域の価値も上がっていく。公園のあり方とコミュニティ・まちづくりとの関係性を知ることができた、学びの多い対談でした。

 

「僕らが目指すのは、“小さくて強い林業”です」
【VOL.1】東京の森に芽吹く新しいしごと 青木亮輔さん
 
森をシェアするという発想のもと、東京・檜原村で「MOKKIの森」というプロジェクトを起こした青木さんと渡部さん。山をどう守り、現場ではたらく人たちをどう守るか。その使命を持って仕掛けたのは、小さくても多様な林業をすることで収益を生み出すビジネスでした。ビジネスのやり方や関わる人の幅を広げるお2人の取り組みは、古く長く続く林業界に新しい風を吹かせています。

 

「誰もが目で味で楽しんでいただきたい」
日々の美しさを和菓子にこめて 木戸祥緒里さん
 
武蔵境にあるシェアキッチンで和菓子屋「千代菓」を営む木戸さん。日常の中で美しいと感じたものを形にし、キュートで目を引く和菓子を販売しています。自然の素材を活かし、砂糖や添加物も使っていないそうですが、体に良いというアピールはしたくないとか。実は私(編集部 平田)の息子は、砂糖と添加物がNG。お菓子は袋に書かれた材料表示だけを見て買っていました。誰もが見た瞬間いいなと思ったお菓子を手にとって、当たり前に食べられる。そんな幸せを叶えるお菓子をつくる木戸さんの言葉。頭で考えて食べるのではなく、感覚を楽しむことは大事だなと改めて気づかされました。

 

「したいことしかしたくない!」
【VOL.5】ゼミを卒業して見えてきた選択肢 大石摩耶さん
 
過去4回で100名以上が参加してきた「まちのインキュベーションゼミ」。今年事業トライアルに挑戦した大石さんは、ゼミが終わった後、強くこう感じたと言います。
「収入は一旦厳しくなるけど、したいことだけするんだと思うと心は軽くて」と、会社を退職。一見大胆な決断にも思えますが、その背景には、事業トライアルを通して地域につくった縁がさらに広がっていく“予感”がありました。
「これがしたい」と声に出して動き出してみることで、楽しさや具体的な課題を見つけたり、応援してくれる人と出会ったり、背中を押され流れに乗るきっかけがつかめそうです。

 

「タイミングは必ず来る、チャンスを待つ」
夫婦で営む、捨てないパン屋 冨永佳道さん
 
JR南武線稲城駅からすぐの小さなパン屋、「Boulangerie道」を営む冨永さん夫婦。朝一番から一気に商品を並べること、パンを捨てないことでお店の新しいあり方を模索している冨永さんですが、パン職人になるのは想定外だったのだそう。新卒で入った会社を一年目で退職し、天職と出会うまでの間には、自分の向き不向きとしっかりと向き合う日々がありました。やめる勇気と生き急がない姿勢は、今の不安な時勢を生きる私たちも見習いたい姿です。


今年の年末年始は、長らく会えていなかった人と一緒に過ごすという方も多いのでは。近況を話したり、今の考え事を伝えたり。ぜひ話のそばに、リンジンでこれまで紹介してきた300本以上の記事を置いていただき、あなたの背中をそっと押してくれる言葉やストーリーを見つけてもらえると嬉しいです。(編集部一同)