好きを探る編み物沼へようこそ

2026.02.20
好きを探る編み物沼へようこそ

ここ数年、火が付いたように人気を集めている編み物。そのブームの流れに引き寄せられ、私も昨年からすっかり「編み物沼」にはまってしまったひとりです。昔は大手手芸店に足を運ばなければ出会えなかった毛糸も、いまでは100円ショップに驚くほど毛糸が並んでいたり。カフェでコーヒーを飲みながら黙々と編み物をする若者や、SNSで編み物を楽しむ著名人の投稿を目にすることが多くなったような。
そんなふうに、連鎖するように広がっていく「編み物沼」。なぜ、手間も時間もかかる編み物に惹きつけられてしまうのでしょうか。

手を動かしながらひも解く時間

私が編み物に夢中になったきっかけは、子育てに少しばかり余白が生まれたことから。もともとニット小物が好きだったこともあり、SNSでふいに目にした編み物動画が気になって、母が昔使っていたお古の編み物道具一式を引っ張り出し、私の編み物ライフがスタートしました。

編み物とひとえに言っても、幅広い手法がありますが、その中でも私がとくに心を奪われているのがかぎ針編みの伝統的な四角いモチーフ「グラニースクエア」です。直訳すると「おばあちゃんの四角」という意味で、もともとセーターや靴下などを編んだあとのあまり糸を無駄なく活用するために生まれたという説もあり、暮らしを豊かにするための工夫から自然と生まれた編み方だといわれています。

ものを捨てることに少し抵抗がある私には、あまり糸を集めて可愛さを無駄なく閉じ込められる「グラニースクエア」が、性格的にも見事にフィット。限りある糸を駆使して、ここなら入れられるぞ!と試行錯誤を重ね、無駄なく使いきれた時には喜びも倍増です。

「グラニースクエア」は、かぎ針編みの基本動作を繰り返してできるので初めての方にもおすすめ。作り方動画にくぎ付けにならずとも、規則性をつかめばながら作業でも楽しめるところも魅力のひとつ
「グラニースクエア」は、かぎ針編みの基本動作を繰り返してできるので初めての方にもおすすめ。作り方動画にくぎ付けにならずとも、規則性をつかめばながら作業でも楽しめるところも魅力のひとつ

そして、編み物の面白さはひとつの動作を覚えると、そこから無限に幅が広がっていくこと。わずかな編み方の違いや配色、糸の組み合わせ次第で表情はがらりと変わり、同じものは二度と生まれないという面白さがあります。ひとつのものを編みあげる度に、「次はこれにチャレンジしたい!」と自然に探求心が芽生えていく感覚。無限にあるデザインの中から自分の好きを探るその過程こそ、私が編み物に引きこまれた理由だと思います。

そんな、編み物の沼の中で気づいたことがあります。それは上達することや完成度の高さでもなく、自分の感覚を大切にしたいなということ。

幼い子供たちとの日々の中で、いつのまにか自分の時間から少し距離ができていたことに気づかされました。それが編み物をきっかけに、自分自身を見つめ直す時間が、少しずつ戻ってきたように感じています。

無心になって手を動かす時間。
色や糸の組み合わせがぴたりと決まったときの、ときめき。
編み終えたときの達成感と、少しずつ増していく愛着。

その積み重ねが、編み物とくつろぎのあいだにある、私だけの時間なのだと思います。

 

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