リンジン的“深さ”の一考

2020.01.09
リンジン的“深さ”の一考

2020年あけましておめでとうございます。
今年一本目のコラムは、事業の「深さ」について考えたいと思います。

事業の成長を語るとき、よく使われるモノサシに「拡大」と「縮小」があります。例えば、事業の拡大というと、ヒト・モノ・カネ・情報が大きくなり、一般的には成功を表す言葉として使われているように思います。しかし、多くの創業者と日々接する中で、「事業を拡大したい」というモチベーションの人が意外に少ないことを感じます。私自身も、事業を拡大したいと思ったことはなく、人から求められて自然に拡大することは結果として望ましいとは思いますが、拡大すること自体への憧れや願望はないというのが正直な気持ちです。

では、何を目指すのかというと、私なりの最近の考えは「深さ」です。例えば、その分野の第一人者である。他社に真似できない圧倒的な何かがある。特定の顧客に深く刺さっている、など。深く刺さったものは簡単には抜けず、深く根が張った樹木は倒れません。深さはすなわち強さだと感じます。

事業の深さを意識するようなってから、深さと広さの反比例を感じるようになりました。広い範囲を覆おうとすると、どうしても浅くなってしまう。むしろ、意識して「狭く」していく。事業範囲を絞ったり、事業エリアを絞るということは勇気のいることですが、結果として尖りが生まれ、深くまで刺さる事業に育ってくるように思います。

例えば、リンジンも、スタートした頃は、働き方改革、副業兼業、リモートワーク、二拠点居住など、色々なはたらき方を紹介するメディアとして考えており、対象エリアもなんとなく郊外は意識しつつも絞り込んでいませんでした。しかし、200本以上の記事を重ねる中で、なにか新しいことにチャレンジする人のストーリーをお伝えすることが最もエネルギッシュで、取材する私たちも楽しく、それを軸に記事を構成してきました。また、エリアも編集部がある中央線小金井を中心とした近隣市町村を範囲とし、読者の近くにいる人を紹介してきました。その結果、メディアとしての深さが少しずつ出てき始めているような肌感覚があります。2020年、4年目を迎えるリンジンは、この尖りをより鋭くしていくことで、深く楽しんでいただけるメディアを目指していきたいと思います。

狭く、鋭く、そして深く。
今年もリンジンを、どうぞよろしくおねがいします。(北池)

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