あっという間に2018年も終わり。平成最後の年末年始、ですね。リンジンでは「編集長の酒場談議」と「リンジン不動産」の連載企画をスタートし、新しいチャレンジに取り組んだ1年になりました。
締めくくりとなるコラムでは、今年ご紹介した62本の記事の中から、編集部の4人の心に残った名言集をお届けします。
「それまでは、家族や知り合いに、飲食関係の活動をしている、という言い方をしていて、しごとだとは何となく言えなかったんです。でもお店を始めてからは、ベーグル屋ですって言えるようになったし、家族にも、今日はしごとだよって言えるようになりました」
—主婦が食堂をはじめるまでの道程 栗栖佳代さん
自宅教室やイベント出店を経て、シェアキッチンでの食堂運営をはじめた栗栖さん。「美味しいものを中心に人が集まる」場所を作ることを大切にしてきたらこそ、店舗を持つことはこれまでの活動の中でもとりわけモチベーションにつながり覚悟も生まれた出来事だったはずです。
「不安はあったけど、今やらなかったら今後もやらないだろうと思ったんです。えいやって感じでした」
—コウカシタスクール前夜#1 水埜知子さん
漠然と「紅茶で何かしたい」という気持ちだけで参加して良いものなのか不安いっぱいの中、最後の最後まで悩んだ末、創業スクールに申し込んだという水埜さん。スクール参加後の春に店舗オープンの夢を実現し、歩み続けている彼女が言うと、その一歩を踏み出すことがいかに大切だということかを気づかせてくれます。
「私が社長になってもだめかもしれない。だけど、どうせなくなってしまうなら、やれるだけやってみよう」
ー創業36年の会社を継ぐ決意 小崎奈央子さん/出版社の後継者になった二児の母
創業36年の出版社の社長になった小崎さん。会社を良くしたいの一心で、当時の社長に対して「もっとこうしましょう!」と提案したそうです。すると、それがきっかけで、自分自身がまさかの社長就任。小崎さんのしごとに対するまっすぐな姿勢と、強い覚悟がうかがえます。
「このしごと、もしかしたら自分じゃなくてもいいんじゃないかな」
ー[編集長の酒場談議]“認知症”の届け人 徳田雄人さん
NHKのディレクターとして8年のキャリアを積んでいた徳田さん。やりがいのあるしごとではあったものの、大きな組織ではたらく中で、ずっとこの考えが頭をよぎっていたそうです。「どうせなら、自分が関わったからこそ変化が起きた、と言えるようなしごとをしたい」と、人生の舵を切った徳田さんの生き方に心が打たれます。
「子供に何かを教える立場の人間が、こんな単一的な考えの大人ばかりでいいのだろうかって」
—事業で探る教育者の夢 濱孝寛さん
大学という特殊な環境の中だけにいては、経験や考え方に偏りがあることに疑問を持ち、外に目を向けた濱さん。自分の中に生まれた小さな違和感が、自分の道を歩むためのきっかけとなります。事業をはじめる理由は人それぞれですが、日常の中で立ち止まってみることも大事だと、初心に立ち返らせてくれる言葉です。
「何かを提供する、受けるという一方通行の関係ではなく、一緒につくっていきたいです」
—“ひばりが丘”に参加する 高村和明さん
団地の住民コミュニティのマネジメントをしている高村さん。自身はそこに住んでいませんが、住民と信頼関係を築き、そこでの暮らしをどうしていきたいか、イベントの企画などを一緒に考えています。自分が引っ張るばかりでなく、時間をかけて少しづつ住民が担う部分を増やしていくのは、いずれ自分がいなくなってもその場の仕組みが持続されるため。先を見据えて、コミュニティの中の自分の役割を考えるバランス感覚を感じました。
「住宅を住むためだけに使わない。そんな住宅のあり方ができないかと考えています」
—空き家から縮小社会の未来を眺む 仲俊治さん
プライベート空間を重視した“住む”ためだけの家ではなく、例えば店舗付住宅のように、外と交流する空間を持った家が増えると、風景だけでなく人の接点という意味でもまちが変わっていきます。空き家問題を解決し、地域を面白くするための一つの糸口がありそうです。
「せっかく身につけたこの技術を、どうにかしてしごととして活かしたかったんです」
—馬を愛でる木彫り人の魂 山田亜紀さん
馬を彫りたいという衝動に駆られ、勢いと意地で彫刻の世界に足を踏み入れたという山田さん。自分の中に沸き起こった一瞬の衝動を逃さず、”私はこれをしごとにする”という意思を持つことこそが、自分らしいしごとを実現するための一番の原動力なのだと実感しました。
皆さんの心に響く言葉もあったでしょうか。ご紹介したのはリンジンにある記事のほんの一部です。興味のあるキーワードで検索していただくと、知らなかった職業に出会ったり、ご近所にいる方が見つかるかもしれません。年末年始は、リンジンをゆっくり読みながらお過ごしいただけたらうれしいです。(編集部 北池・田中・加藤・國廣)