全国で11万箇所以上ある、地方自治体や国に管理された都市公園。子どもの遊びに、大人の憩いに、住民の集いにオープンに開かれ、地元や自然の価値が見直されたコロナ禍でも、公園の魅力が再発見されました。
都市公園といえば、今注目されている「Park-PFI」をご存知でしょうか? Park-PFIは、 2017年の都市公園法改正により新設された公募指定管理制度。公園に飲食店や売店などの施設を設置し、その収益を活用して公園の整備を行う公民連携のプロジェクトです。民間事業者の資金やノウハウを活かした、公園の活性化やまちのにぎわいづくりに、大きな期待が寄せられているところ。2018年にPark-PFIを活用した全国初の事例として福岡県北九州市の勝山公園に珈琲所コメダ珈琲店のカフェが導入されたのを皮切りに、全国で続々と広がっています。
Park-PFIを活用して、今、どんな公園が生まれているのでしょう。この数年間で大きくリニューアルされた、気になる3つの公園をリンジン編集部が訪ねました。
場所は岩手県盛岡市。JR盛岡駅東口から徒歩4分の北上川沿いにある、木伏(きっぷし)緑地。約200mの帯状の緑地で、駅近の好立地ながら利用者が少なくトイレもなかった公園が、2019年からPark-PFIを利用して新しい公園に生まれ変わりました。
「water neighborhood~水辺界隈の生活者になろう~」をコンセプトに、川と河川敷と緑地を活かしながら、公衆トイレや芝生公園が整備され、コーヒースタンド、地産地消カフェ、アウトドアレストラン、ジェラート店、バルなど、多様な地元飲食店がオープン。まちなかキャンプや、スケートボードやボルタリングなどのアクティビティ、映画祭など、今も新しい取り組みが生まれています。
JR盛岡駅から徒歩で約20分の住宅街にある公園。厳しい財政状況を背景に、長い間、敷地の一部は未整備のまま手付かずの状態になっていました。こうした中で公園の整備を進め、子育て世代が多いエリアながら子どもを預ける場所がないといった地域課題を解決するため、Park-PFIを活用。「あそびを学び、まなびを遊ぶ」をコンセプトに、BeBA TERRACEプロジェクトが始動しました。
2020年10月には「モリオカえほんの森保育園」が開園し、カフェや食堂、地元農家が育てた野菜や食材・園芸品の直売所もオープン。これからは、伝統工芸の体験施設やフリースクール、こども図書館などが続々開設される予定で、2023年春にグランドオープンをめざしています。
高度経済成長期に開発された大阪府堺市の泉北ニュータウンにあり、大蓮池が広がる大蓮公園。関西初のPark-PFIプロジェクトで、2020年にリニューアルオープンしました。
老朽化で閉館した博物館「旧泉北すえむら資料館」をリノベーションし、アウトドアブランド「DOD」とコラボレーションした複合施設「Design Ohasu Days」が誕生。市民団体が運営する私設図書館や、カフェ、キャンプ場、屋上BBQ施設などが設置され、 “自分に合った公園利用をデザインできる場所”に。さらに、シェアキッチンやシェアショップ・ギャラリーを備えたレンタルスペースが設けられたり、屋外でマルシェやワークショップなどのイベントが開催されたりと、まちに住む人が主体的に参加できる“ふるさとの公園”に再生されました。
今も、全国多くの公園でPark-PFIの導入が進められているところ。これまで活用されていなかった公園を再生し、まちのにぎわいの場をつくる。例えば、シェアオフィスやコワーキングスペースが並ぶビジネスの拠点になる公園や、自然の中でアートを体感できるミュージアム一体型公園、高齢者向け施設や障がい者施設が併設された誰でも楽しめるバリアフリーな公園など、公園の可能性は広がるばかり。Park-PFIのこれからに期待が高まります。