2017年の開設から5年半を経て、今年、初めてのリニューアルを迎えたリンジン。タグや特集で記事が探しやすくなったり、ウェブストアをはじめたりと、大きな転換点になりました。みなさまの2022年は、どんな1年だったでしょうか?
今年最後にお届けするのは、恒例となった名言集。編集後記として、わたしたちが特に心に残った一言をご紹介します。年末年始、リンジンたちのストーリーをゆっくりとお読みいただけたらうれしいです。
小金井市で「すうぷ屋 でみcafé」を営む店主のでみさんこと、嶋岡秀美さん。自分のお店を始めた理由をたずねると、「自分が寂しかったから」と答えてくれました。そんな嶋岡さんの周りにはいつもたくさんの人が集まっています。その理由について、「寂しいとか辛い、苦しいって恥ずかしげもなく言えるからじゃないかって」と話します。弱みを見せることに躊躇しまう人も多いと思いますが、それ以上に人の繋がりの大切さと強さを実感した一言でした。
―寂しさを原動力にカフェを育む 嶋岡秀美さん
「お兄ちゃんが『大丈夫!』って言うなら」
3人きょうだいで、3歳違いの兄と妹。兄の石丸さんがオーナー、妹の小山さんがパティシエを担当し、瞬く間に人気店となった焼き菓子とコーヒーのお店「アンポン bake&drip」。フランスの菓子店でも働いた小山さんにとって、開業は10代からの夢でした。しかし、子育てをはじめてからは、「絶対無理だな…」とほとんど諦めていたと言います。そんな時、背中を強く押したのは、地域をリサーチした上で「大丈夫」と話した兄への信頼でした。“自分1人でがんばる”以外の選択肢が、お互いの夢や目標を叶えていく可能性を感じます。
ーいつかを叶えた兄妹のカフェ経営 小山かおりさん
作り手の技術や素材の良さを引き出していくのが、デザインの役割ですから
小金井市に拠点を持ち、長く愛される生活道具のデザインを手掛けるデザイナーの吉田守孝さん。日本を代表するプロダクトデザイナー故・柳宗理氏のもとで働いて、普遍的な“いいもの”を学んだと言います。作り手と素材、そして使い手ととことん向き合い生み出すデザインが、「いいものを長く使いたい」と願う人の手に渡っていることを、リンジンから吉田さんの商品を届ける中でも実感します。
―手工業デザインと流通をつくる 吉田守孝さん
みんなにとっていい空間にしていくと、誰のものでもないよくある空間になってしまう
武蔵野市で夫婦で住宅や店舗の設計を手がける、studio83(はちみち)の辰巳夫妻。今年、自宅兼事務所であり、まちに開かれたギャラリーやシェアキッチン・オフィスも入った「83(はちさん)ビルティング」をオープンしました。狭小ビルを改修して理想の空間にしていく中は試行錯誤もあったとか。そんな中でも貫いた辰巳さんの考え方に、自分自身の強い気持ちやこだわりを貫くことの大切さを改めて実感しました。
―住みはたらき集う、建築家のビル 辰巳知子さん 辰巳雄一さん
皆で一緒に何かをするということが、安心感や居場所感を生んでくれる
「サードプレイスの現状とこれからの可能性」をテーマに明星大学で開催された、デザインセッション多摩DeST。カフェ、スナック、空き家を活用した拠点、シェアキッチンやシェアオフィスを運営するそれぞれの立場から、居場所について考えました。
一人ひとりが居心地よく感じる場所をつくるには、ただ空間を整えるのではなく、そこに“参加する”というアクションが大きな鍵となっていそうです。
ーサードプレイスのウラ側を考える 影山知明さん
「私、できた。大丈夫かも」って思えた
東小金井駅近くでおやき専門店「OYAKI CAFE キイロ」を営む野内さん。きっかけはおやきではなく、多様な人が働ける場を作りたいという思いだったのだそう。自身も働けない時期を経験し、「回復するって、『大丈夫かも』と思える瞬間の積み重ね」と話します。野内さんが開く自分のペースで社会に戻れる場所に、心も生活も救われる人が多くいるはずです。
―おやきで始める、はたらく場作り 野内スザナさん
記事を読みながら、来年の暮らしや働き方はどうしようかと考えてみたり、自分がしたいことを見つめる時間をつくってみたり。それぞれのヒントがリンジンで見つかれば何よりです。どうぞよいお年をお迎えください。(編集室一同)
“弱みを見せられるのが強み”なんだなと