子育てをしながら多摩をフィールドに活躍する地域の旗振り役の実体験を通じて、“自分らしいはたらき方”について考えるハタラクカイギ2017。連載2回目のテーマは、やりたいことを実現するためにどのようにして家族の協力を獲得していくかということについて。家族としごとの距離感の捉え方について語るハタラクカイギ、白熱の中盤戦です。
北池「独立を決めるときに避けては通れないのが家族の理解だと思うのですが、その局面をどう乗り切りましたか?」
中田「私は子どもが生まれてからパンの修行を始めましたので、毎朝3時に家を出て、保育園のお迎えの時間までパン屋で勤めるという期間が3年ほどありました。幸運なことに、主人もパン屋をやりたい想いがあって、数年先にお店を構えるためには今何をするべきなのかを一緒に決めていけたからこそ、協力を得られたと思っています。少しエネルギーを要するので敬遠しがちですが、将来の目標を夫婦でしっかりと話し合うことは必須な作業です」
吉田「私は会社を辞めるときにファイナンシャルプランナーの人に相談して、月々に必要なお金の目標額を設定しました(笑)。そうすることで客観的に見れました。目標も明確になるのでオススメですよ」
北池「しごとを受けるか受けないかを決めるとき、モノサシとなるような考え方はありますか?」
吉田「限られた時間の中で全ての依頼を受けることはできないので、私はしごとを選ぶときに“これ面白そう!”と思えるかどうかを判断の基準にしています。最近では、様々な企業からしごとの依頼をいただくことも増えたのですが、極端な話、つまらなそうでもギャラの良いしごとも中にはあって……。でも、それを選んでしまうと、会社員時代に副業でやっていた頃の忙しさに戻ってしまうので絶対にしないようにしています。おかげで、家族との時間がちゃんと取れています」
中田「やりたいことができない理由を“家族のため”、“子どものため”と、時間がないことを言い訳にするのはズルいと思っています。遠慮がちにやるくらいなら、いっそやらずに子どもと一緒にいてあげたほうがよっぽど喜びますので」
北池「好きなしごとに夢中になって、お子さんに寂しい思いをさせてしまうことはありませんでしたか?」
中田「しごとに熱中していると、どうしても子どもには寂しい思いをさせてしまうのも事実です。でも、自分の本気の姿を見せ続けることで、寂しさがやがて誇らしさに変化していくことがあるんです。今では『僕のお母さん、美味しいパン作ってるんだー』と、友達に自慢することもあって。せっかく好きなことをやるんだから、とことん自分のしたいことを突き詰めていった方が、後々に良い結果につながると思います」
小崎「“はたらき方”の認識の違いは、男性と女性の間で少なからずあると思います。私はしごとをするのが当たり前の生き方でしたが、以前の旦那さんは“家事と育児はすべて女性がやるもの”という認識を持っている人でした。話し合いを重ねても平行線のままで。だから1人で生きていくと覚悟を決めたんです。すると、次第にしごとも上手くこなせるようになってきて、結果的に勤めた会社の代表にまでなってしまいました(笑)。私自身に笑顔が戻ったからか、子どもも昔以上に笑ってくれるようにもなりました。離婚という大きな波を越えて、自分が自分のために生きることで子どもが幸せになれることを知りました。だから今、私はとても幸せです」
次回は連載の最終回。生きていくために切り離すことのできない“お金を稼ぐ”ことについて語り尽くします。ハタラクカイギの結末を、どうぞお見逃しなく!(加藤)
子どもを育み、暮らしを育む ハタラクカイギ2017
#2 家族をいいわけにしない
東日本大震災を機に、サラリーマンからパン屋の道へ。代官山の老舗ブーランジェリーで修行後、新しいパン屋のカタチとしてフリーのパン屋を始める。平行して吉祥寺でパンの朝市、パンイチ!を始める。8歳の双子の母。
http://ameblo.jp/n-bakery
リクルート在籍時より工作作家として活動を開始。2015年に退職しフリーランスの道へ。日々の暮らしの中で思ったこと・感じたことを、写真・文章・工作などを通し、ブログや育児メディアで表現している。
http://pottiri12.tumblr.com
立川のけやき出版にて書籍編集者、地域情報誌たまら・び編集長を経て、2015年に4代目代表取締役社長に就任。経営と編集長を兼務しながら多摩エリアの情報発信を行う。
http://keyaki-s.co.jp
http://www.city.musashino.lg.jp/koho/pressrelease/pressrelease201702/1015461.html