日を追うごとに春の香りが増してくる3月の気持ち良く晴れた日曜日。子育てをしながら多摩をフィールドに活躍する地域の旗振り役とリンジン編集長の北池が“自分らしいはたらき方”について語り合うトークイベント、ハタラクカイギ2017が武蔵野市主催で開催されました。一見すると華やかに活躍をしている3名の女性。ですが、その背景には特別なことはなにひとつない、試行錯誤の末に辿り着いた“自分らしく”あるための等身大なヒントが散りばめられていたのです。
全3回に渡ってお届けする第1回目の今回。“暮らし”と“しごと”を両立する、その絶妙なバランスの取り方を伺います。
北池「育児をしながらしごともバリバリとこなしているイメージがある3名ですが、時間のつくり方のコツってありますか?」
吉田「はじめのうちは子どもを寝かしつけてから自分のやりたいことをやろうとしていたんですが、どうしても焦りやイライラが表情や態度に出てしまうので諦めて一緒に寝ることにしました。しごとは子どもを保育園に預けている日中に絞っています。終わらなければ、朝早くおきてやる。そうすることで夜は自然と眠くなるので、一日の達成感とともに安心して子どもと寝れますしね」
北池「中田さんも小崎さんも、深く頷いてますね(笑)」
中田「私は生後8ヶ月で保育園に預けましたが、それまでの期間は育児だけで精一杯で、子どもと一緒に寝落ちしてしまうタイプでした。だから、これはもう無理をせずに保育園に入れるまでは育児に専念して、子どもと一緒にいれる時間を大切にしようと」
小崎「子どもってプレッシャーをかけると逆に目が冴えてきますよね。私は小学2年生になる娘がいて、寝かしつけて“さあ、しごとだ!”って思っても『トイレー』、とか『のどがかわいた』とか言いながら起きてきて……。逆に、子どもに誘われるがまま一緒に寝ると、親が横にいる安心感からなのかすぐに寝てくれます。ですので、その後に1人で起きて一気にしごとにとりかかります」
北池「と言うことは、“しごとの時間”と“暮らしの時間”は割ときっちりと境界線を引いているということになるんですかね?」
中田「いえ、むしろ逆ですね。私の場合は完全にONになるのは工房でパンをつくっている時間だけで、それ以外の事務作業は家事との境がありません。以前、それをどうやって区切ろうかと考えたんですが、出した答えが“もう、全部混ざっていいや!”ということでした。メールがきたらそれの返事をして、洗濯機が止まったら洗濯物を干す。来た球を打つような感覚で。そうすることで逆に楽になれましたね」
小崎「私の場合、しごととプライベートで境界線をつくってしまうとたくさんの業務が止まってしまって。とは言え、それをしごとと捉えてしまうと辛いので……。だから、私は“息をするようにしごとをする”ことを無意識にできるよう努めました。遊んでいるときもしごとのことを考えているし、逆も然りで。でもそのおかげで常に新しい発見があるし、企画も思いつきやすい。それが自然にできると、一日中ワクワクしていられるんです」
中田「私も、一つだけ自分で決めていることがあって。それは“しごとも家事も全く何もしないOFFの日をつくること”です。その日は、好きな映画を観たり本を読んだりします。頭の中をリフレッシュすることって大切です」
北池「そのようなONとOFFをつけないはたらき方って、会社勤めのサラリーマンには難しいような気がしますが、みなさんはどうでしたか?」
中田「パン屋を始める前は、とある商社で医療福祉関係の広報やデザインのしごとをしていて、比較的きっちりとONとOFFのある生活でした。組織の中に属していると、むしろONとOFFはあった方が良しとされることが多いですよね」
小崎「私も、子どもがまだ小さいときには特別に好きなしごとばかりはできませんでした。でも、そのおかげで多くの知識と経験が身に付いたし、それがこれからの自分の糧になると信じて疑わなかったから、どんなしごとでも無理矢理にでも楽しさを見出すようにしていました」
白熱したハタラクカイギはまだまだはじまったばかり。次回は“家族としごと”の関係について、それぞれの想いが交錯します。(カトウ)
子どもを育み、暮らしを育む ハタラクカイギ2017
#1 全部混ざった暮らしを楽しむ
東日本大震災を機に、サラリーマンからパン屋の道へ。代官山の老舗ブーランジェリーで修行後、新しいパン屋のカタチとしてフリーのパン屋を始める。平行して吉祥寺でパンの朝市、パンイチ!を始める。8歳の双子の母。
http://ameblo.jp/n-bakery
リクルート在籍時より工作作家として活動を開始。2015年に退職しフリーランスの道へ。日々の暮らしの中で思ったこと・感じたことを、写真・文章・工作などを通し、ブログや育児メディアで表現している。
http://pottiri12.tumblr.com
立川のけやき出版にて書籍編集者、地域情報誌たまら・び編集長を経て、2015年に4代目代表取締役社長に就任。経営と編集長を兼務しながら多摩エリアの情報発信を行う。
http://keyaki-s.co.jp
http://www.city.musashino.lg.jp/koho/pressrelease/pressrelease201702/1015461.html