リンジンたちの名言2024 -編集後記-

2024.12.26
リンジンたちの名言2024 -編集後記-

2024年も残りわずか。リンジンでは今年も、たくさんの隣人さんたちを紹介してきました。自分の好きなことを生業にした方、空き地や空き家を活かして事業を始めた方、地域の課題を解決するために活動する方、一つの仕事に縛られずパラレルな働き方を実践する方など、編集部も一人ひとりの取材を通して新しい発見と勇気をもらった一年でした。特に印象に残った一言を編集部がご紹介します。

「遊びは自由だと原体験から伝えたい」

団地から遊びを広げる配達人      クリハラタツヤさん

“遊び配達人”として活動するクリハラタツヤさんは、自身の経験から遊びの大切さを伝えています。過去には、知育玩具会社で全力で働く中、遊び道具などを販売しながらも自分は全然遊んでいないというジレンマに苦しみ、働きすぎの限界を痛感したことが。「遊びは非生産的ですが、人の本能であり文化そのもの」と語るクリハラさんは、個人活動として、ボードゲームや野外ゲームを通じ、子どもから大人までが楽しめる場を提供。団地を拠点に遊びの自由さと重要性を広め、つながりを生む活動にコミュニティ活性化の可能性を感じました。

 

「いい意味で、着地点は決めていませんでしたね」

果樹園+ガレージがホームになる 古瀬陽子さん

武蔵野市で「松屋果樹園+garage」を切り盛りする古瀬陽子さん。先祖代々受け継いできた果樹園運営に加え、自宅のガレージを、果樹販売と地域のコミュニティの場として改装オープンさせました。古瀬さんは、自分がやりたいことに制限をかけないために、この場所をあえて言葉でカテコライズしないといいます。等身大で良いと感じたものを、ガレージを使って表現し、周囲の人々と共有していく、その自由でしなやかな姿勢に、新たな一歩を踏み出す勇気をもらいました。

 

「毎日がドラマチックすぎる」

写真家、3坪の植物店をはじめる 秋谷弘太郎さん

吉祥寺にある「ECHO PLANTS」。写真家の秋谷弘太郎さんは、コロナ禍を機に、意外にも鉄道系企業への転職を決めました。公園管理も手がけるその企業での経験、そして元来の植物好きが高じて独立。待っていたのは“草友”との出会いでした。家に行ったり、植物を交換したり。湿気を好む植物を愛する“ジメジメ系”なんて呼び名もあるそうで…。マニアのセンサーに引っかかる、観葉植物店というドア。開けた先にある集える場所。“自分のドアを持つ”ことの面白さを改めて感じました。

 

「今まで愛されてきたものを残しつつも、地域に新しいものをもたらしたいなと思ったんです」

夢も家業も諦めない2拠点生活  樋口聖也さん

今年4月、小金井市のシェアキッチンで「喫茶ほしのこ」をオープンした樋口聖也さん・佳八子さんご夫妻。実家の洋菓子店のある福島と東京の二拠点生活を送りながら、お菓子を作り続けています。東京でインプットしたことを、自身と実家のお店でアウトプットする、バランスの取れた生活。そして、「ほしのこ」の名前のようにきらりと輝くふたりの夢。周囲の人々に支えられながらゆっくり歩む背中に、心からエールを送りたいと思いました。

 

「本づくりが楽しすぎるんですよね」

極小出版社のつくり方とつづけ方 北野太一さん

東京・小金井を拠点にしたひとり出版社「素粒社」。出版社を立ち上げたのは、編集者の北野太一さんです。学生の頃から本が好きで、出版社で経験を積んだ後、流れに身を任せるように起業の道に進みました。経営的に継続する難しさを感じながらも、好きな仕事だからエネルギーにあふれ、楽しんでいる北野さん。たくさんの時間を費やす仕事は、なるべく好きなことをしたいもの。この北野さんの言葉に背中を押された方は多かったのではないでしょうか。

 

「誰もがどこかのピースが欠けているんだけど、トビバコで出会う人たちが混ざり合うことで、ピタッとはまる感触があります」

空き家を“エッジーな”基地に変える   西村達也さん

アートユニット「minglelingo」の西村達也さん・愛子さん夫妻と再生プラスチックを活用した創作を手がける「Green Mind Labo Pebbles」の太田風美さんは、調布にある築40年以上の空き家を改装し、子どもから高齢者までまちの誰もが集まれる「トビバコ」という地域の拠点を運営しています。私自身の地元は静岡県の田舎で、空き家問題を肌で感じていたところ。空き家がまちの人それぞれのピースがピタッとはまるような地域のハブ的存在に変身したトビバコの活動に、小さな光が地域の未来を照らすと感じました。

 

「もっと早い方がよかったとは思わない」

ごはんとおかずで育むコミュニティ 小幡奈央さん

10年以上、飲食店や調理師などのキャリアを積み、シェアキッチンで惣菜屋「ゴハンとオカズ。ときどき」をオープンした小幡奈央さん。シェアキッチン卒業後は、食を通した居場所づくりのために、「自分が住む街でお店を始めた方が説得力があるし意味がある」と、自宅のそばに新店舗をオープンしました。子育ても経て40代で開業したことが、これまでの経験が全て生き、自分にとって「ちょうどいいタイミングだった」と、小幡さんは振り返ります。キャリアやタイミングは一人ひとり違うもの。早く何かしなきゃと焦りがちな毎日の中で、とても胸に刺さる言葉でした。

 

「こんな仕事もあるのか」

畑でカルチャーを育む28歳の挑戦 赤塚功太郎さん

武蔵村山で「若松屋 武蔵村山農場」を運営するHIP-HOP好きの赤塚功太郎さん。「サッカーは自分の血液」と語るほど競技に打ち込んだ学生時代を過ぎ、就職活動の壁にぶつかりました。劣等感に包まれて実家に引きこもりながら参加した農業アルバイトが、人生の転機に。新規就農を叶え、農業を通して「多種多様な人とカルチャーが集まる場所を作りたい」と夢を抱いています。その明るく強いまなざしに、「何かに悩んでいる人がいたらこんな世界もあるよと視野を広げてもらいたい」という思いの強さを感じます。

 

みなさんはどんな一言が気になりましたか?ぜひ、リンジンの記事を読みながら新しいお年をお迎えください。(編集部一同)

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