湖畔と川辺はみんなのリビング

2024.11.14
湖畔と川辺はみんなのリビング

日本でまちづくりや地域活性の仕事に携わったのち、2024年4月よりフィンランドに滞在中のライター・杉田が現地で見た景色や感じたことをコラム形式でお届けします。今回は、水辺での過ごし方に関する話です。

“森と湖の国”と呼ばれるほど、緑と水辺が身近にあるフィンランド。地図で見ても湖の多さは明らかで、その数は18万にものぼるのだそう。

わたしがフィンランドに来たのは4月上旬。その頃は、まだ雪が降る日もあり、湖は白く凍りついていました。しかし、5月に入り気温が15度くらいまで上がると、湖畔の景色は一変します。木々には新芽が芽吹き、湖面は溶けてきらきらと輝くブルーに。人々も一気に夏の装いへと衣替えをし、水辺で想い想いの時間を過ごします。

芝生にピクニックシートを広げ、音楽を流しながらビールを片手にくつろぐカップル、ハンモックに揺られ一人読書をする若者、水着姿で気持ちよさそうに日光浴する年配の夫婦、愛犬との時間を楽しむファミリー。まるでリビングをそのまま外に持ち出したかのように、湖畔にはそれぞれの暮らしがありました。

特に5月から6月、7月にかけては1年の中で最も日が長く、夜10時から11時ごろまで日が沈まないので、フィンランドの人々は長い1日をここぞとばかりに満喫します。長く暗い冬を乗り越えた現地の人にとっては、太陽の光が余計にありがたく感じられるのでしょう。

木陰にハンモックを張ったり、ベンチをベストポジションに移動させて景色を楽しんだり、本当にみんな居場所づくりが上手。そして、わたしもそんなフィンランドの人たちをお手本に、お気に入りのベンチで音楽を聴いたり、ただぼーっと景色を眺めたり、読書をしたり、水辺でのくつろぎの時間を何度も繰り返し過ごしました。最初は少しそわそわしたり、余計なことを考えてしまったり、一人で外でくつろぐって案外難しい…と感じていましたが、すぐに慣れ、心地よいリフレッシュの時間に。現地の人々にとっても、わたしのような外から来た人にとっても、水辺は心安らぐ大切な場所なのです。

7月下旬の休日、日光浴を楽しむ人でにぎわう国立公園内の湖畔。大人は水着を着ていても湖では泳がずに、日光浴するだけの人も多い。冬場に日照時間が少なくなるとビタミンD不足になるため、その予防でもあるのだそう(Kuusijärvi, Vantaa)
7月下旬の休日、日光浴を楽しむ人でにぎわう国立公園内の湖畔。大人は水着を着ていても湖では泳がずに、日光浴するだけの人も多い。冬場に日照時間が少なくなるとビタミンD不足になるため、その予防でもあるのだそう(Kuusijärvi, Vantaa)
何度も通ったお気に入りのブランコベンチ。川辺や湖畔のベンチは大抵、川・湖側を向いている(Lapinniemi, Tampere)
何度も通ったお気に入りのブランコベンチ。川辺や湖畔のベンチは大抵、川・湖側を向いている(Lapinniemi, Tampere)
天気の良い日、水辺にあるベンチは大人気。満席で座れないこともしばしば。フィンランド人はお酒が好きな人が多く、昼夜問わずアルコール缶を片手に過ごす人も多い(Aura river, Turku)
天気の良い日、水辺にあるベンチは大人気。満席で座れないこともしばしば。フィンランド人はお酒が好きな人が多く、昼夜問わずアルコール缶を片手に過ごす人も多い(Aura river, Turku)
サウナがあるところでは特に、湖へダイブする人の姿もよく見かける(Kuusijärvi, Vantaa)
サウナがあるところでは特に、湖へダイブする人の姿もよく見かける(Kuusijärvi, Vantaa)

プロフィール

杉田映理子

1994年東京都生まれ、ライター。地方のデザイン会社でライター・編集者として、7年間にわたり、さまざまな自治体のプロモーションやまちづくり、イベント企画に携わったのち、現在はフィンランドに滞在しながらこれからの人生を模索中。異国の地に来ても“デザイン”や“まちづくり”の視点でものを見るクセが抜けない。

https://www.instagram.com/e_sary125/

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