そばではたらく
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小回りを利かせてチャンスを掴む

トランクをひとつ持ち歩き、毎週末のようにアンティークマーケットに出店しているCOVINの宇治橋帆織さん。前回は、お店という拠点を持たずにはたらくこと、その魅力についてをお聞きしました。今回は、アンティークの世界でしごとをすることになったきっかけについて、詳しくお聞きします。

趣味から始まったアンティークの収集

学生時代はプロダクトデザインの勉強をしていた宇治橋さん。もともとは、雑貨や文具のデザインをするしごとに就きたかったといいます。卒業後は輸入玩具を扱う会社や、雑貨などの制作会社などに勤め、その後はファッションブランドminä perhonenで、社会人インターンとしてはたらきました。

「この頃から、年に1回ほど、趣味でヨーロッパを旅行しては、アンティークマーケットをめぐっていました。しごとにしたいとは思っていなかったですけど、友人の顔を思い浮かべながら選ぶのも楽しくて、買ったものを自分だけで楽しむというよりも、お土産として渡すのも好きでした」

この時期、今のはたらき方につながる、大きな出会いがありました。ある日、インターンで一緒にはたらいていた友人と、都内のカフェでヴィンテージのお土産を並べて話していたら、そのお店のオーナーに声をかけられたといいます。

最近は手作り市なども増えているため、材料となるような細かい品物を探す人も多い。

趣味からしごとに変わった大きな出会い

「そのお店のオーナーが『あなたのセレクトはとても面白いから、青山ウィークリーアンティークマーケットに出てみたら?』と、声をかけてくれたんです。初対面なのに。私が驚いているうちに、骨董品のディーラーをしているという知人の方もすぐに呼び出してくれて。その方にも勧められて、勢いのまま出店することになりました」

知人のアクセサリー展示会で蚤の市をするためなど、買い付けには何度か行っていましたが、 ディーラーとしてはまだ新人だった当時の宇治橋さん。それでも思い切って青山ウィークリーアンティークマーケットに出店すると、近くにいた出店者が別のマーケットに誘ってくれたと言います。そこからは出店する度につながりが生まれ、気づくと毎週末どこかのマーケットに出店するようになっていました。

「最初にカフェのオーナーに声をかけられた時、躊躇していたら今のしごとには辿り着いていなかったのかもしれません。それくらい大きな転機だったと思います。出店数が増えていくうちに、あ、これはしごとにできるかもと思うようになりました」

常連のお客さんの顔が見えて、ふと笑顔になる宇治橋さん。

誰かに習うのではなく自分の感覚を頼る

マーケットに出店する人の中には、ディーラーとして下積みをしたり、大手のショップで修行をしたりと、長い準備期間を経ている人も多くいます。誰かに教えてもらうという経験がないまま、自分のセンスや感覚だけを頼りにアンティークの世界に飛び込むことになった宇治橋さんですが、それは勇気のいることだったかもしれません。

「同じアンティークの世界でも、デパートの催事場でやる骨董市のような、高価な品物を目利きの人たちに向けて販売するという人たちもいるんです。でも私が知り合った人たちは、もう少し気軽に誰でも見られるような、新しいマーケットにも積極的に出ている人たちだったので、何の実績もない私にも、面白いと思って声をかけてくれた。それも幸運だったのかなと思います」

今の暮らしにも馴染むような、身につけて楽しんでもらうような品物を扱っていきたいという宇治橋さん。それは、minä perhonenでのしごとや、ファッションの世界ではたらく人たちとのつながりも影響しているのかもしれません。

もとの持ち主の暮らしなどを想像してみるのも楽しい、アンティークの世界。

いつかはデザインや制作もしたい

週末のマーケット出店に加えて、ここ最近では、中目黒でオリジナルの帽子を扱うSugri Salonというお店にCOVINの品物を常設で置かせてもらい、店内イベントや季節に合わせて定期的に入れ替えを行っています。

「今後のはたらき方としては、そういう拠点をもっと増やしていきたいというよりも、今の状態をしっかり維持しながら、その中で新しい挑戦をしていきたいです。昔、missing peaceという名前でアクセサリーを作っていたことがあったんですけど、買い付けしてきたヴィンテージのビーズやスパンコールなどを使って、またデザインや制作にもチャレンジしてみたいです」

人との縁やつながりをゆるやかに広げながらも、ここぞというチャンスはしっかり掴む、行動力と決断力のある宇治橋さん。旅するようにはたらく延長線上で、きっとまた新しい出会いが待っているのでしょう。(安達)

顔なじみの人、初めて訪れた人など、出店ごとの一期一会も楽しいという宇治橋さん。

プロフィール

宇治橋帆織

美術大学を卒業後、輸入玩具メーカーや雑貨の制作会社などの勤務を経て、COVINを始める。COVINとは“contemporary”と“vintage”を併せた造語。ヴィンテージの品物を現代の生活の中でも楽しめるようセレクトし、都内を中心としたアンティークマーケットなどに出店し販売。中目黒でオリジナルの帽子を扱う「Sugri Salon」にもアクセサリーを中心とした常設コーナーがある。詳しい出店情報などはサイトを参照。

https://covin-vintage.jimdo.com