お父さんとベビーカー

2024.10.17
お父さんとベビーカー

日本でまちづくりや地域活性の仕事に携わったのち、2024年4月よりフィンランドに滞在中のライター・杉田が現地で見た景色や感じたことをコラム形式でお届けします。今回は、子育てに関する話です。

公園で子どもを遊ばせるお父さん、
前後に子どもを乗せて自転車を走らせるお父さん、
ベビーカーを押してバスに乗るお父さん。

フィンランドに来て最初に驚いたことの一つが、まちなかで男性が当たり前のように一人で子どもを連れている姿の多さ。全体を見れば、お母さんと子どもの親子や両親と子どもを見かけることの方がが多いけれど、お父さんが一人で子どもを連れている光景は珍しくありません。
先日、平日の日中に美術館を訪れたときに、2組の父子親子がいっしょに館内を巡っていて、日本ならほとんどあり得ない光景だとカルチャーショックを受けました。

フィンランドが世界トップレベルで男女平等が進んでいる国であることや、子育てや教育環境が豊かであることは、本やネットの記事で読んだり、そのような話題を耳にする機会があって、情報としては知ってはいたけれど、こうして実際にその光景を目の当たりにすると、日本との圧倒的な違いを痛感します。

それと同時に、日本であれば“イクメン”と呼ばれるであろうお父さんたちの姿を見かけるたびに、未だ感心してしまう自分に、子育てに対しての男女の役割分担のスタンダードが無意識のうちに刷り込まれていることを思い知らされるのです。

背景には日本とフィンランドの働き方やライフスタイル、子育て支援制度の違いなど、さまざまな要素が関係していて、目の前の景色だけで比較することはできませんが、“あたりまえ”の基準が違えば、日常風景がこんなにも大きく変わるのだということを感じさせられます。

フィンランドでは女性の就業率も高く、育休制度は両親が均等に分け合う形式なのだそう。平日の朝、男女問わず、どちらかの親が子どもを学校に送り届ける姿を見かける
フィンランドでは女性の就業率も高く、育休制度は両親が均等に分け合う形式なのだそう。平日の朝、男女問わず、どちらかの親が子どもを学校に送り届ける姿を見かける
いわゆるママチャリではなく、スポーティな自転車に子どもの席を取り付けているスタイルがスタンダード。男女問わず、子どもを乗せて颯爽と走っている
いわゆるママチャリではなく、スポーティな自転車に子どもの席を取り付けているスタイルがスタンダード。男女問わず、子どもを乗せて颯爽と走っている
美術館のベビーカー置き場。公共施設やスーパーなどにはベビーカー用の自動ドアが設置されていたり、子連れにやさしい環境が整っているように感じる。また、0歳から6歳までの子どもをベビーカーに乗せて公共交通機関に乗車する場合、大人1人の運賃が無料になる
美術館のベビーカー置き場。公共施設やスーパーなどにはベビーカー用の自動ドアが設置されていたり、子連れにやさしい環境が整っているように感じる。また、0歳から6歳までの子どもをベビーカーに乗せて公共交通機関に乗車する場合、大人1人の運賃が無料になる
ちょっとした広場や遊具など、まちなかに子どもが遊べる空間がたくさんある。スーツを着ている男性がいないというのも、日本との大きな印象の違いだ
ちょっとした広場や遊具など、まちなかに子どもが遊べる空間がたくさんある。スーツを着ている男性がいないというのも、日本との大きな印象の違いだ

プロフィール

杉田映理子

1994年東京都生まれ、ライター。地方のデザイン会社でライター・編集者として、7年間にわたり、さまざまな自治体のプロモーションやまちづくり、イベント企画に携わったのち、現在はフィンランドに滞在しながらこれからの人生を模索中。異国の地に来ても“デザイン”や“まちづくり”の視点でものを見るクセが抜けない。

https://www.instagram.com/e_sary125/

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