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コミュニティを築く6つの視点 ゼミ#5初回レポート

地域をリソースに事業開発をめざす、まちのインキュベーションゼミ#5が11月6日にスタートしました。今回のテーマは、「今こそ コミュニティの底力」。地域のつながりや支え合いが改めて見直される中、コミュニティを軸にしごとづくりを目指すメンバーが30名集まりました。参加メンバーは、10代から70代まで、学生や教職員、デザイナー、精神保健福祉士、保育士、会社員など、世代も経歴も様々。一人ひとりが得意を生かし、チームを組んでしごとづくりを実践していきます。
初回のオリエンテーションでは、6名のチームリーダーたちが事業アイデアをプレゼン。今回はどんなアイデアが出てきたのでしょうか。それぞれの動機や想いとともにご紹介します。

多世代が集まって困りごとを解決するカフェ

一人目のリーダーは、山下陽子さん。子育てをしながらはたらく中でご自身の病気が見つかったときに、「子どもを預かるよ」とサポートしてくれた周囲のママのネットワークが大きな支えになったそう。一方で公的なサービスは待機児童問題もあり、「頼りたい時にすぐ頼れる子育て支援の輪が必要ではないか」と考えるようになったと言います。
 
そこから発展し、子育て支援だけでなく、地域の多様な世代が立ち寄れて様々な困りごとを解決できるカフェというアイデアへ。ただお茶するだけでもいいし、小学生が勉強していってもいい。子育てや介護の悩みも相談できて、闘病中の方も話すことでストレスを解消できる。それぞれのスキルを持ち寄りながら、誰もが気持ちが和む場所をつくりたい。そんな想いが根底にあります。学生時代に社会福祉士の資格を取得しながら、今は全く別の業界ではたらく山下さん。資格を生かして、これまで思い描いていたアイデアの具現化をめざします。

手を差し伸べられるコミュニティが重要だと語る、山下さん

精神的な不調を抱えるママをケアする

二人目は、ゼミ#4にも参加していた島田真弓さん。前回はリーダーをサポートする側でしたが、今回はリーダーとして自分のアイデアの具現化に挑戦します。長年、精神保健福祉士として、病院や障がい者施設ではたらいてきた島田さんは、現場でしごとをする中で「精神的な生きづらさを抱える人達が生きやすくなれる場所を作りたい」と思ってきたそう。
 
とくに子育て中のママが精神的な不調を抱えるケースが多いと言う島田さん。そこで事業の軸として考えたのが、子育て中のママをコミュニティでケアしながら社会との接点をもてる場所をつくることでした。子連れではたらいて収入を得られたり、はたらくリハビリができたり、気軽に親子で立ち寄ってくつろいだり相談できたりする“親子カフェ”をひらきたいと構想を広げます。

医療的なアプローチだけじゃなく、“対話”を大切にした関係づくりをしたいと、島田さん

B品野菜の移動販売からギャラリーカフェも視野に

三人目は伊藤和子さん。もともと都心に住んでいたけれど、緑の多さや子育て環境の良さから郊外に移り住んできたという伊藤さんは、ふだんは保育士としてはたらきながら、地域の農業や農家を支援するボランティア活動も行っています。
 
そんな伊藤さんのアイデアは、地域の畑で生まれた出荷できない規格外のB品野菜やそれを取り入れたランチの移動販売です。移動販売で使う車両は、使い道がないワンボックスカーをリユース。地域の農業の身近な課題を解決するために、自分ができることはないかと考えたそうです。調理場として空き家を活用したり、ギャラリーカフェにしたりと構想中のアイデアも。ゼミのメンバーと意見を出し合う中で、どんな実践が生み出されるのでしょうか。

自分のアイデアを形にするヒントがあるかもしれないと感じ、このゼミに参加した伊藤さん

得意を生かし、植物のお店をプロデュース

四人目は志村恵美さん。高校時代から植物に魅せられ、長年、園芸店ではたらいてきた志村さんは、植物を使った作品をつくったり、ガーデニングの提案をしたりしてきました。自分が得意とする植物を通して、何か面白いことができたらと常々思っていたそうです。
 
そこで志村さんは、単に植物をセレクトして販売するだけでなく、その場でガーデニングができたり、植物の植え替えやメンテナンスなど“植物の病院”のような機能をもつお店をつくろうと考えました。植物について専門知識はあるけれど、お店のコンセプトづくりや地域に広げていくのが得意な方ではないと話していた志村さん。このゼミで出会った様々な人と協力しながら、暮らしを楽しくするような植物のお店をプロデュースできればと言います。

植物の知識や経験を生かしながら、自由な発想でみんなの暮らしを楽しくしたいと、志村さん

多摩地域に国際交流できるサードプレイスを

五人目の野添美咲さんは、フリーランスでコワーキングコミュニティカフェの運営をしており、いずれは自分で起業することを考えているそうです。そんな中で今回のゼミを知り、前に進んでいきたいと参加を決めました。
 
野添さんのアイデアは、多摩地域で国際交流できるサードプレイスをつくること。学生時代に国際寮で海外の人と関わる楽しさを体感したものの、多摩地域では外国人と地元に住む人がコミュニケーションできる場所が少ないと感じていた野添さん。交流の場をつくれば、海外の人にとって日本での拠り所になり、日本人にとっても従来の概念から離れて多様な文化を知ることができる。それが優しい社会につながるのではないかと考えたそう。そして、多摩地域に住む海外の人は何を求め、日本人は何を課題に感じているのか。自分がつくるコミュニティで何を提供できるのか。それらをこのゼミで固めていきたいと意気込みます。

自分の国以外の人と出会うことで、肩書きから離れて救われるような部分もあるのではないかと言う、野添さん

コーチングを通して、自分軸でキャリアを築く場所

最後の六人目は、大学の教職員であり教育の現場に関わってきた山下郁美さん。ご主人の転勤に伴って引っ越しを重ね、見知らぬ土地での子育てに不安を感じていた山下さんは、イライラ・ガミガミしてしまう毎日にこのままではダメだと感じたとか。そんな中でコーチングと出会ったことで、周りや自分との関わり方が変わり、少しずつ自分らしい生き方の歯車が回ってきたと言います。
 
山下さんのアイデアは、キャリアコーチングプログラムを通して、学生が“自分軸”でキャリアを築ける場所づくり。これまでの経験から、職業に自分を合わせることに窮屈さを感じ、自分軸でキャリアを設計すれば将来の可能性が広がると考えました。一人ひとりの価値観に寄り添って話を聞き、一緒に未来を描いて応援する。学生が多い小金井で主体的に地域に関わり、“ほっと心が温かくなる”ような街の土台づくりに貢献したいと話します。

職業を軸にしたキャリア形成では可能性に蓋を閉じてしまうと語る、山下さん

それぞれの経験や環境から感じる課題や興味を動機に、今回生まれた6つのアイデア。ここを出発点に、チームでアイデアや得意を掛け合わせて、どのようなコミュニティが実践されるのでしょうか。これからの展開に期待が高まります。

会場では参加者同士で自然と会話が弾み、盛り上がっていた

最後には、編成されたチームで作戦会議も

▼ゼミのオリエンテーションを30秒でまとめた動画はこちら。ぜひご覧ください!