キノ子 こんにちは、リンジン先生いますかー。
リンジン先生 あ、君はパン屋さんをやりたがっていたキノ子さんだね。今日はどうしたのかな?
キノ子 家の近くに、古くからある建物があって、そこが賃貸物件になっていたの。すごく素敵な建物だからここでパン屋さんやりたいなって。
リンジン先生 ほう! それはいいね!
キノ子 でもね、不動産屋さんに行ってみたら、そこではパン屋さんはできないって言われちゃって…。
リンジン先生 それは、残念だね。…もしかしてその不動産屋さん、「第一種低層住居専用地域」っていう言葉を使っていなかったかな?
キノ子 え!! なんでわかるの!?もう私には何のことやらちんぷんかんぷんで。でもね、ますますあの建物が気になっちゃって気になっちゃって…。やっぱり、私、あそこでパン屋さんはできないの?おしえて、リンジン先生!
リンジン先生 うん、いいだろう。まず、その不動産屋さんが言った「第一種低層住居専用地域」というのを理解しないとね。
キノ子 そう、それが何のことやら。
リンジン先生 第一種低層住居専用地域ってのは、みんなが暮らしやすくするために「住居」としての環境を最優先にした地域のことなんだよ。都市計画法という法律で決められているんだ。
キノ子 住居を最優先・・・。そんなのが法律で決まってたんだ。
リンジン先生 全部で13の種類に用途が分けられているんだ。たとえば、お店は駅前の商店街に、工場はこの辺に固めて、住宅はこの辺に、みたいな感じで、それぞれの地域に作っていい建物の用途が決められているんだ。
キノ子 そうなんだ。
リンジン先生 例えば、自分が住んでいる家の隣に大きな工場ができたら嫌でしょ。
キノ子 たしかに、住みづらくなっちゃいそうだなあ。
リンジン先生 そうだよね。用途の違う建物がぐちゃぐちゃにならないようようにして、生活環境を守ろうという法律なんだ。
キノ子 なるほどー。
リンジン先生 キノ子さんが住む郊外は「住宅街」って言われたりすると思うけど、そういうエリアって「第一種低層住居専用地域」であることが多いんだよ。
キノ子 ひゃー、じゃあやっぱり、あの建物でパン屋さんをやるのは、諦めたほうがよさそうだね…。
リンジン先生 そう思うでしょ?でもね、実は意外とそうでもないんだよ。諦めるのはまだ早い。
キノ子 え、どういうことなの?住宅しかつくっちゃいけないんでしょ?
リンジン先生 うん、たしかに第一種低層住居専用地域は、住宅をつくるための地域だから、店舗とか事務所は作れないんだ。でも、たとえば、学校、神社、診療所といった生活に密接に関わるものは作ってもいいんだよ。
キノ子 ふーん。たしかに、家のすぐ近くに幼稚園と銭湯があるけど、日頃暮らしている中であまり気になったことはなかったなあ。
リンジン先生 そして、もう一つ。小さなお店や事務所を併設した住宅も可能なんだ。
キノ子 なにそれ、なにそれ?
リンジン先生 住宅に併設したお店や事務所であれば、第一種低層住居専用地域でも開くことが可能なんだ!
キノ子 えー、そうなのー!それならもっと早く言ってよー!
リンジン先生 うん、でもいくつか条件がある。例えば、お店や事務所として使う部分の床面積が50㎡以下であることや、全体の床面積の1/2以下である必要があるんだ。
キノ子 なるほど。言われてみれば近所にあった美容室のおじさんが「住んでる家はこの美容室の上だよ」って言っていたなあ。
リンジン先生 「そうだね。あくまでも普段からその建物に住んでいることが大前提だね」
キノ子 「じゃあ、2階を自宅にして、一階の一部をパン屋さんにするってのはアリなんだね?!引っ越しも含めて考えれば可能性はゼロではなさそう」
リンジン先生 「だね。あとは、ご近所の迷惑にならないよう、十分に気をつけることが大事だよ」
キノ子 「そっかー。自分がやりたいからやるだけではなくて、周りに住んでいる人のこともちゃんと考えないといけないんだね。でも、私みたいに考えている人って多くないの?」
リンジン先生 「そうだね。この法律も何十年も前に作られた法律だから、今の時代に合わなくなってきている部分があるのかも。最近ではこういった制限の厳しい地域にも新たに商業施設を設けられるように、国が規制を緩和する方向に動いていると聞くよ」
キノ子 「へえ、そうなんだ。」
リンジン先生 「徒歩で通えるところにお店がないってこともあったりするし、少子高齢化がますます進んでいくこれから、まちづくりを考える上で、大事なことだよね」
キノ子 「私のパン屋さんも、地域に必要とされるお店になれるように頑張るね!」
リンジン先生 「応援してるよ。まずは不動産屋さんに相談だね!」
(イラスト・中村玲子)
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