武蔵村山発NEW WORKINGの行方 最終審査会レポート

2025.01.23
武蔵村山発NEW WORKINGの行方 最終審査会レポート

武蔵村山市の新しいビジネス創出を後押しする、ワークゼミ&コンテスト「NEW WORKING」。武蔵村山市やその近隣に住む方を中心に合計35組からエントリーがあり、ファイナリストとして9組が選出。昨年の12月15日には立川のTOKYO創業ステーションを舞台に、最終審査会&グランプリ発表が行われました。一体、どんなアイデアがグランプリ・準グランプリに輝いたのでしょう。

誰かを支えるケアギバーのためのヨガスタジオ

一人目の準グランプリは山本純茄さん。看護師としてのキャリアを持つ山本さんのアイデアは、ケアギバー(caregiver)のためのヨガスタジオ。ケアギバーは誰かを支える人の意味で、介護や看病、育児なども含まれ、大きなストレスを感じることも。山本さん自身もケアギバーであり、自ら心身を整えるために大きな効果を感じたのがヨガで、マインドフルネスの習得や自律神経の調整、心身の疲労回復などにつながったと言います。

ヨガスタジオは市内の空き家を利用して、落ち着いた居心地の良い空間に。ヨガを通して心身の健康を増進し自分と向き合うとともに、ケアギバーの悩みを共有できるつながりの場を提供。医療の仕事で培った知識、ケアギバーとしての体験、ヨガの経験などすべてを活かして、「いろいろな人が幸せで笑顔になり、ウェルネスを感じられるヨガスタジオをつくりたい」と話します。

忙しい医療現場では、ケアギバーの方を支えたいのに時間が限られ一人ひとりに対応できないことも、山本さんのアイデアの背景にあった
忙しい医療現場では、ケアギバーの方を支えたいのに時間が限られ一人ひとりに対応できないことも、山本さんのアイデアの背景にあった

eスポーツイベントでまちにワクワクを

準グランプリの二人目は髙野剛志さん。武蔵村山市に引っ越してから、若者目線でまちの魅力を発信し連鎖需要を掘り起こす仕掛けが必要だと感じていた高野さん。子どもとゲームで遊ぶ中で、人気ゲームクリエイターが武蔵村山市出身だと知ったのをきっかけに、eスポーツ(ゲームを用いた対戦をスポーツ競技として捉えたもの)イベントの企画・運営を考えるようになったと言います。

開催する場所は、市内で事業を営む方のお店。個人が楽しめるイベントであると同時に、市内の小さな飲食店などでeスポーツイベントを行うことで事業者の集客やリピーター獲得につなげ、まちの経済効果も生み出したいと言います。さらには、自治体の催事に合わせたイベント、障がい者や高齢者向けのイベント、温泉や横田基地とのコラボレーションなど、将来のビジョンを描きます。新興市場で市場規模が毎年拡大しているeスポーツで、ゆくゆくは売上高1千万円、累計経済効果1億円のビジネスを目指し、「武蔵村山からワクワクを届けたい」と話しました。

武蔵村山のイオンモールと協業し、チャリティeスポーツ大会を開催した実績も。人気ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズSP」の対戦で小学生130人が集まったそう
武蔵村山のイオンモールと協業し、チャリティeスポーツ大会を開催した実績も。人気ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズSP」の対戦で小学生130人が集まったそう

小玉スイカで新しい武蔵村山らしさをつくる

グランプリに輝いたのは、東京農業アカデミー受講生であり武蔵村山市で新規就農予定の横山遼さんです。作物を自分の手で“0”から作って直接提供できる農業の魅力に惹かれ、システムエンジニアから農家に転身した横山さん。「農業を通じて、新しい武蔵村山らしさをつくりたい」と新しいビジネスプランを提案しました。

具体的なアイデアは、小玉スイカをメイン商材に地域の誇りとなる作物を生産すること。農地が少ない東京では多くの面積を必要とするスイカの栽培は難しいですが、武蔵村山市の広大な農地を生かして良質のおいしいスイカをたくさん生産したいと言います。値段は1個2000円に設定し、自らがプライスリーダーとなって仲間と一緒に儲かる農業へ。「何気ない日常のちょっとした贅沢」をコンセプトに、SNSも活用しながら「武蔵村山といえば小玉スイカ」と言われるようなブランディングを目指します。「地域の農業を引っ張っていくような農家になって、地域を盛り上げていきたい」と言う横山さん。高齢化などで農地を貸したい・手放したいという農家のニーズにも応え、まちの農業を支えていきます。

どんな作物を栽培しようかと迷っていた時に、スイカを食べたらおいしくて感動したという体験も背景に。「スイカは収穫したてが新鮮で一番おいしい」という横山さん。武蔵村山市でつくられた身近で新鮮なスイカをアピールしていく
どんな作物を栽培しようかと迷っていた時に、スイカを食べたらおいしくて感動したという体験も背景に。「スイカは収穫したてが新鮮で一番おいしい」という横山さん。武蔵村山市でつくられた身近で新鮮なスイカをアピールしていく
ファイナリストへの審査員からの質問も活発で、会場が盛り上がっていた。グランプリ・準グランプリが発表されると、会場には大きな拍手が
ファイナリストへの審査員からの質問も活発で、会場が盛り上がっていた。グランプリ・準グランプリが発表されると、会場には大きな拍手が

他のファイナリストからも、天然配合由来リサイクル型樹脂製の畳表地域密着事業(佐伯勉さん)、武蔵村山市民に愛されおすすめできる鉄板焼店(堂垣智大さん)、こころが動くものづくりのコミュニティスペース(稲波淳子さん)、子育て世代の家庭を支えるコミュニティカフェ(若林景子さん)、街をつなぐ地産地消型オンライン事務サービス(杉本光紗さん)、武蔵村山ビアカフェ構想(⾼屋ともえさん・酒井絢⼦さん)と、“まちにあったらいいな”を叶える多彩なアイデアが発表された本コンテスト。誰もが熱の込もったプレゼンの中で、見事、グランプリ・準グランプリを受賞した3人のアイデアは、これから武蔵村山市で形になっていく予定です。今後の展開もお楽しみに!

グランプリ・準グランプリに選ばれた3人
グランプリ・準グランプリに選ばれた3人
503view
Loading...