そばではたらく
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自分の場を持つまでの道のり 前編

いつか自分でお店をしたい。自分の事務所を構えてはたらきたい。そんな希望を持ちながらも、イメージから前に進めなかったり、子育てや暮らしとのバランスを考えてタイミングを逃しているという方は多いのではないでしょうか。
今回座談会としてお話をお聞きしたのは3名の女性。パーティーグッズの店舗を開く石井あゆみさん、オリジナル梱包資材のアトリエ兼店舗を開く長屋聡美さん、一級建築士で事務所兼店舗を開く辰巳知子さん。みなさんご結婚され、うちお2人は小さなお子さんがいらっしゃいます。
東小金井駅近くの高架下にあるPO-TO(ポート)にお店や事務所を持つまでに、どんな道のりを歩み、どんな思いを持たれてきたのでしょうか。連載前編です。

三者三様の出発点

ー今のしごとをしようと思い始めたきっかけは何でしたか?

長屋「デコレーション系の副資材を扱うECサイト関係の会社に勤めていたときに、副業としてネットショップをはじめたんです。お小遣い稼ぎじゃないですけど、やってみようという気持ちがあって。ライティングなどの経験を積んでいたので、そんなに苦労せず売り上げに繋げられました。2015年いっぱいまで、1年半くらい二足のわらじを続けていました」

石井「私はけっこう思いつきなところがあって(笑)PO-TOの前を通りかかったときに、入居者募集を見つけたんです。それからアイディアを思いつきました。パーティーグッズだったら子どもも喜ぶかなって。駄菓子バーとか、ワゴン販売のお店とかもいいなとか夢見てました」

年齢も近く、ほぼ同じタイミングで場を持った3人は共通の話題も多い。

辰巳「もともと不動産の会社に勤めていたんですけど、建築のしごとがしたくて夜間の大学に通って、小さな設計事務所に入りました。5年くらいいて、1級建築士の資格を取るちょっと前に友人から個人でしごとをもらえて。社長と相談しながら事務所のしごとと並行してやっていました。それが終わったときに、やっぱり自分でやりたいなと思って事務所を離れました」

2015年にはご夫婦で設計ユニットstudio83を設立された辰巳さん。

退職で次のステップへ

—辰巳さんがいらっしゃった建築関係は、独立することが前提という方が多い業界ですよね。ほかのお2人はどんな理由で会社をやめられたのですか?

石井「決め手は子どもですね。キャビンアテンダントをやっていたので、しごと柄3日間海外に滞在しなくてはいけませんでした。産休を取っていたので、続けるという選択肢もあったんですが、ママっ子でいつも『ママー』と言ってくる子どもを実際に見ると、どうしても置いていけないなと。自由なはたらき方をしたい、子育てと両立しながら自分の新たなステップをという気持ちが芽生えて、今年の6月に退職しました」

長屋「私も結婚出産というタイミングでした。ECサイト関係の会社から、人材関係の会社に転職していたんですが、ベンチャーだったので、時間的な拘束もあって難しいなと思って」

オリジナルの糸をネットショップやマルシェで販売されている長屋さん。

辰巳「私は、給料が入ってくる安心はあったので迷っていたら、結婚した旦那がやめちゃいなよって。向こうが引っ張ってくれました(笑)」

—夫婦で一方は新しいことにチャレンジして、もう1人は会社勤めを続けるという攻めと守りの体制をつくったんですね。実際に独立されてみて、会社員時代とどんな違いがありますか?

辰巳「全部自分で決められるっていうところが大きいです。事務所に所属していると、最終的には所長の意見が絶対という部分がどうしてもありました。独立してからは、最初から最後まで自分で考えて決定するという点が違いであり魅力かなと思います。その分大変さもありますが」

辰巳さんの事務所には手がけた模型も並ぶ。

長屋さん「私は会社のしごとと副業のしごとを完全に分けていたので、特にフラストレーションは感じていませんでした。会社から与えられることをやるのと、自分で作って発信していくというのは全然違うことだったので」

—会社の中だとどうしても縛られる部分がありますし、まずは副業やお試し的にはじめてみるというのも一つのあり方ですよね。

“起業家”とのギャップ

—世の中的に言うと、みなさんは“起業家”というくくりになるかと思いますが、起業という言葉に対してどう思っていますか?

石井「私の場合は思いつきで、趣味の延長みたいな部分があるので、何か申し訳ない気持ちです。起業って、長期間かけて資金集めをしてリサーチをしてというイメージがあるのですが、私は短期間での準備だったので」

「起業してるんだって思うと、私も頑張らなきゃなって思います」と石井さん。

辰巳「私も石井さんに近いですね。収支計画とかあまり考えずに、その都度その都度、お客さんとどう出会っていかにしごとにしていくかみたいなことしか意識していないんです。起業ってすごい言葉に感じていて、資金のことも計画しなきゃいけないんだろうな、みたいな。今自分がしていることを起業とは認識してないんですけど、意識しないといけないんだろうな、という感じです」

長屋「私もあまり起業っていうイメージはないです。会社を介さずに、個人で税金を納めている人みたいな。どっちかと言うと“フリーランス”の方がイメージに近いかな」

石井、辰巳「そうですね」

 
起業というと、株式会社を立ち上げて都心でバリバリやっていく、といったイメージが多いかもしれません。言葉にひっぱられると自分とは縁遠く感じますが、実際は3名のように、意識しなくても自分でしごとを起こしている方がたくさんいるんですね。
後編では、家族や暮らしとのバランス、目指している姿についてお聞きします。

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名称PO-TO所在地東京都小金井市梶野町1-2-36(JR中央線 東小金井駅徒歩5分)区画Room / Desk月額利用料Room 42,000円〜/Desk 18,000円利用方法事務所、店舗、工房として利用可/24時間365日利用可/法人登記可URLhttp://www.po-to.jp

プロフィール

石井あゆみ

出産を機にキャビンアテンダントとして勤務した大手企業を退職。自由なはたらき方を模索する中で、幼少時代を過ごしたメキシコのパーティー文化を日本に広げるアイデアを発案。退職から約4ヶ月後、キッズパーティーアイテム&バルーンのセレクトショップpoppin’ soda partyをPO-TO N-03に開店。
http://www.partyshop.tokyo/

長屋聡美

ECサイト関連企業に勤務中から副業として副資材のネットショップを開始。結婚・出産を機に退職し、その後ermineaの屋号で手染め糸、引き揃え糸、手編み小物、アレンジ小物などを製作・販売。オンラインのほか、ショップへの卸しやマルシェ出店を行なっている。PO-TO N-07にアトリエ兼店舗をオープン。
https://www.mercari.com/jp/u/787286427/

辰巳知子

大手不動産会社で不動産賃貸営業に従事しつつ、作り手側にまわりたいという思いを募らせ、早稲田大学芸術学校建築設計科に入学。2011年から添田建築アトリエに勤務し、個人住宅、集合住宅、店舗内装などの設計監理を担当。2015年には、設計事務所に勤める夫と設計ユニットstudio83を設立。PO-TO N-02に事務所兼店舗を構える。
http://s83.info/main2.html